運送約款
特殊手荷物運送に関して
第1章 総則
(適用範囲)
第1条
- この運送約款は、当社が経営する航路で行う特殊手荷物の運送に適用されます。
- この運送約款に定めのない事項については、法令の規定又は一般の慣習によります。
- 当社がこの運送約款の趣旨及び法令の規定に反しない範囲内で特約の申込みに応じたときは、その特約によります。
(定義)
第2条
- この運送約款で「特殊手荷物」とは、旅客がその乗船区間について運送を委託する物であって次に掲げるもの及びその積載物品をいいます。
- 道路運送車両法(昭和26年法律第185号)第2条第2項に規定する自動車であって、二輪のもの
- 道路運送車両法第2条第3項に規定する原動機付自転車
- 自転車、乳母車又は荷車その他の道路運送車両法第2条第4項に規定する軽車両であって、人力により移動するもの(手回り品及び受託手荷物として取り扱われるものを除く。)
- この運送約款で「運送申込人」とは、特殊手荷物の運送を委託する旅客をいいます。
- この運送約款で「営業所」とは、当社の事務所及び当社が指定する者の事務所をいいます。
第2章 運送の引き受け
(運送の引受け)
第3条
- 当社は、使用船舶の輸送力の範囲内において、運送の申込みの順序により、乗船券の提示を求めたうえ、1乗船当たり特殊手荷物を1個に限り、その運送契約の申込みに応じます。
- 当社は、前項の規定にかかわらず、次の各号のいずれかに該当する場合は、運送契約の申込みを拒絶し、又は既に締結した運送契約を解除することがあります。
- 当社が第6条の規定による措置をとった場合
- 積載物品以外の特殊手荷物が次のいずれかに該当する物である場合
- ア.法令の規定に違反して運行されるもの
- イ.その積載物品の積載方法が運送に不適当と認められるもの
- ウ.車高が低い等取扱い上不適切な構造を有すると認められるもの
- エ.船積固縛するに当たって不適切な構造を有すると認められるもの
- オ.特殊手荷物の運賃(以下「運賃」という。)と比し、著しく高額であるもの
- カ.その他乗船者、他の物品若しくは使用船舶に危害を及ぼし、又は乗船者に迷惑を及ぼすおそれのあるもの
- 積載物品が次のいずれかに該当する物である場合
- ア.臭気を発するもの、不潔なものその他乗船者に迷惑を及ぼすおそれのあるもの
- イ.白金、金その他の貴金属、貨幣、銀行券、有価証券、印紙類、宝石類、美術品、骨とう品その他の高価品
- ウ.銃砲、刀剣その他使用することにより、乗船者、他の物品又は使用船舶に危害を及ぼすおそれのあるもの
- エ.爆発物その他乗船者、他の物品又は使用船舶に危害を及ぼすおそれのあるもの
- オ.遺体
- カ.生動物
- キ.その他運送に不適当と認められるもの
- 運送申込人が法令若しくはこの運送約款の規定に違反する行為を行い、又は行うおそれがある場合
- 運送契約の申込みがこの運送約款と異なる運送条件によるものである場合
- 当該運送に関し、運送申込人から特別な負担を求められた場合
(特殊手荷物の内容の申告等)
第4条
- 運送申込人は、積載物品以外の特殊手荷物が前条第2項第2号オに該当する物又は積載物品が同項第3号のいずれかに該当する物であるときは、あらかじめその旨(同号ア、ウ又はエに該当する物(以下「危険品等」という。)であるときは、その旨及び当該危険品等の品名、性質その他の当該危険品等の安全な運送に必要な情報)を当社に申告しなければなりません。
- 当社は、前条第2項第2号オの積載物品以外の特殊手荷物又は同項第3号のいずれかに該当する積載物品の運送の申込みに応じる場合には、運送申込人に対し、その負担において当該特殊手荷物につき看守人の添乗、損害保険の付保その他の必要な措置をとることを求めることがあります。
- 当社は、積載物品以外の特殊手荷物が前条第2項第2号オに該当する物又は積載物品が同項第3号のいずれかに該当する物である疑いがあるときは、運送申込人又は第三者の立会いのもとに、当該特殊手荷物の内容を点検することがあります。
- 当社は、前条第2項第2号オの積載物品以外の特殊手荷物又は同項第3号イに該当する積載物品(以下「高価品等」という。)の運送に関しては、運送申込人が運送の申込みに際し当該高価品等の種類及び価格を明示した場合を除き、その滅失、損傷又は延着による損害については、これを賠償する責任を負いません。
- 前項の規定は、次に掲げる場合については適用しません。
- 運送契約の締結の当時、高価品等であることを当社が知っていた場合
- 当社又はその使用人の故意又は重大な過失によって高価品等の滅失、損傷又は延着が生じた場合
(途中下船等)
第5条
- 当社は、特殊手荷物の途中下船その他の依頼には応じません。ただし、当社が取扱い上支障がないと認めた場合は、この限りではありません。
- 前項ただし書の規定により当社が運送申込人の依頼に応じる場合に必要となる運賃その他の費用は、運送申込人の負担とします。
(運航の中止等)
第6条
- 当社は、法令の規定によるほか、次の各号のいずれかに該当する場合は、予定した船便の発航の中止、使用船舶、発着日時、航行経路若しくは発着港の変更又は特殊手荷物の種類(積載物品の種類を除く。以下同じ。)の制限の措置をとることがあります。
- 気象又は海象が船舶の航行に危険を及ぼすおそれがある場合
- 天災、火災、海難、使用船舶の故障その他のやむを得ない事由が発生した場合
- 災害時における円滑な避難、緊急輸送その他これらに類する旅客又は貨物の輸送を行う場合
- 船員その他運送に携わる者の同盟罷業その他の争議行為が発生した場合
- 乗船者の疾病が発生した場合など生命が危険にさらされ、又は健康が著しく損なわれるおそれがある場合
- 使用船舶の奪取又は破壊等の不法行為が発生した場合
- 旅客が旅客運送の部第18条第1項各号に掲げる行為をし、又はしようとしていると信ずるに足りる相当な理由がある場合
- 官公署の命令又は要求があった場合
第3章 運賃
(運賃の額等)
第7条
- 運賃の額及びその適用方法については、別に地方運輸局長(運輸監理部長を含む。)に届け出たところによります。
- 運賃には、運送申込人の運送の運賃及び料金は含まれていません。
(運賃の収受)
第8条
- 当社は、営業所において所定の運賃を収受し、これと引き換えに特殊手荷物券を発行します。
- 当社は、運送申込人が船長又は当社の係員の承諾を得て運賃を支払わずに特殊手荷物を乗船させた場合は、船内において乗船区間に対応する運賃を申し受け、これと引き換えに補充特殊手荷物券を発行します。
(特殊手荷物券の効力)
第9条
- 特殊手荷物券は、券面記載の乗船区間、通用期間、指定便(乗船年月日及び便名又は発航時刻が指定されている船便をいう。以下同じ。)及び特殊手荷物の種類に限り、使用することができます。
- 運送申込人がその都合により特殊手荷物券の券面記載の乗船区間内で特殊手荷物を途中下船させた場合には、当該特殊手荷物券の前途は、無効とします。ただし、乗換えその他この運送約款において特に定める場合は、この限りではありません。
(運賃の変更の場合の取扱い)
第10条
- 運賃が変更された場合において、その変更前に当社が発行した特殊手荷物券は、その通用期間内に限り、有効とします。
(特殊手荷物券の通用期間)
第11条
- 当社は、特殊手荷物券(指定便に係るものを除く。)の通用期間について、次の各号に定める区分に応じ、それぞれ当該各号に定める期間以上の期間を定め、これを券面に記載します。
- 片道券
片道の乗船距離により次の区分に応じ、それぞれの区分で定める期間- ア.100キロメートル未満のものにあっては、発売当日限り
- イ.100キロメートル以上200キロメートル未満のものにあっては、発売当日を含めて2日間
- ウ.200キロメートル以上400キロメートル未満のものにあっては、発売当日を含めて4日間
- エ.400キロメートル以上のものにあっては、発売当日を含めて7日間
- 往復券
往復券に係る片道の乗船距離により前号の区分に応じ、それぞれの区分で定める期間の2倍の期間 - 回数券
発売当日を含めて2月間
- 片道券
- 疾病その他運送申込人の一身に関する不可抗力又は当社が第6条の規定による措置をとったことにより、運送申込人が、特殊手荷物を乗船させることを延期し、又は継続して乗船させることができなくなった場合は、当社は、特殊手荷物券の未使用区間について、7日間を限度として、その通用期間を延長する取扱いに応じます。
- 特殊手荷物を乗船させた後に特殊手荷物券の通用期間が経過した場合は、そのまま継続して乗船させる間に限り、当該特殊手荷物券の通用期間は、その間延長されたものとみなします。
(乗船変更)
第12条
- 運送申込人が特殊手荷物券(回数特殊手荷物券及び定期特殊手荷物券を除く。)の通用期間の終了前(指定便に係るものにあっては、当該指定便の発航前)に券面記載の乗船区間、指定便又は特殊手荷物の種類の変更を申し出た場合には、当社は、1回に限り、当該申出に係る特殊手荷物券の発売営業所その他当社が指定する営業所においてその変更の取扱いに応じます。ただし、変更しようとする船便等の輸送力に余裕がない場合は、この限りではありません。
- 前項の規定により当社が変更の取扱いに応じる場合には、当該変更に係る手数料は、無料とし、変更後の乗船区間及び特殊手荷物の種類に対応する運賃の額と既に収受した運賃の額との間に差額が生じるときは、当社は、不足額があればこれを申し受け、過剰額があればこれを払い戻します。
(乗越し)
第13条
- 運送申込人が特殊手荷物を乗船させた後に特殊手荷物券の券面記載の乗船区間の変更を申し出た場合には、当社は、その輸送力に余裕があり、かつ、乗越しとなる場合に限り、その変更の取扱いに応じます。この場合には、当社は、変更後の乗船区間に対応する運賃の額と既に収受した運賃の額との差額を申し受け、これと引き換えに補充特殊手荷物券を発行します。
(特殊手荷物券の紛失)
第14条
- 運送申込人が特殊手荷物券を紛失したときは、当社は、改めて運賃を申し受け、これと引き換えに特殊手荷物券を発行します。この場合には、当社は、その旨の証明書を発行します。ただし、特殊手荷物券を所持して特殊手荷物を乗船させた事実が明白である場合には、この規定を適用しないことがあります。
- 運送申込人は、紛失した特殊手荷物券を発見したときは、その通用期間の経過後1年以内に限り、前項の証明書を添えて当社に運賃の払戻しを請求することができます。
(不正乗船等)
第15条
- 運送申込人が次の各号のいずれかに該当する行為をしたときは、当社は、運賃のほかにその2倍に相当する額の増運賃をあわせて申し受けることがあります。この場合において、乗船港が不明のときは、当該船便の始発港をもって乗船港とみなします。
- 船長又は当社の係員の承諾を得ないで、特殊手荷物券を持たずに特殊手荷物を乗船させること。
- 無効の特殊手荷物券で特殊手荷物を乗船させること。
- 記載事項が改変された特殊手荷物券で特殊手荷物を乗船させること。
- 当該特殊手荷物券の券面記載の特殊手荷物の種類以外の特殊手荷物を乗船させること。
- 当社の係員が特殊手荷物券の提示を求め、又は運賃の支払いを請求してもこれに応じないこと。
- 不正の申告によって、運賃の割引を受け、又は運賃を支払わずに特殊手荷物を乗船させること。
- 特殊手荷物券を回収する際にその引渡しを拒否すること。
(払戻し及び払戻し手数料)
第16条
- 当社は、次の各号のいずれかに該当する場合は、当該特殊手荷物券の発売営業所その他当社が指定する営業所において、それぞれ当該各号に定める額の運賃を払い戻します。
- 運送申込人が、入鋏前の船便の指定のない特殊手荷物券(回数特殊手荷物券及び定期特殊手荷物券を除く。以下この条において同じ。)について、その通用期間内に払戻しの請求をした場合(第3号及び第5号に該当する場合を除く。) 券面記載金額(割引がされているときは、割引後の金額。以下同じ。)
- 運送申込人が、入鋏前の指定便に係る特殊手荷物券について、当該指定便の発航前に払戻しの請求をした場合(次号及び第5号に該当する場合を除く。)券面記載金額
- 死亡、疾病その他運送申込人の一身に関する不可抗力により、運送申込人が、特殊手荷物を乗船させることを取り止め、又は継続して乗船させることができなくなったことを証明した場合において、特殊手荷物券の通用期間の経過後30日以内に払戻しの請求をしたとき。券面記載金額と既使用区間に対応する運賃の額との差額
- 運送申込人が、入鋏前の回数特殊手荷物券について、その通用期間内に払戻しの請求をした場合 券面記載の乗船区間の回数割引前の運賃の額に使用済券片数を乗じて得た額を券面記載金額から控除した額
- 運送申込人が、定期特殊手荷物券について、その通用期間内に払戻しの請求をした場合 券面記載の乗船区間の往復の運賃の額(往復割引があるときは、割引後の運賃の額)に使用開始日以降の経過日数を乗じて得た額を券面記載金額から控除した額
- 当社が第6条の規定による措置をとった場合において、運送申込人が運送契約を解除し、払戻しの請求をしたとき。 券面記載金額と既使用区間に対応する運賃の額との差額
- 当社が第3条第2項の規定により運送契約を解除した場合 券面記載金額と既使用区間に対応する運賃の額との差額
- 運送申込人が第14条第2項の規定による払戻しの請求をした場合 券面記載金額
- 当社は、前項の規定により運賃の払戻しをするときは、次の各号に定める区分に応じ、それぞれ当該各号に定める額の範囲内において当社が定める額の手数料を申し受けます。ただし、同項第6号及び第7号(第3条第2項第1号に係る場合に限る。)に係る払戻しについては、手数料を申し受けません。
- 前項第1号、第3号、第4号、第7号(第3条第2項第1号に係る場合を除く。)及び第8号に係る払戻し 200円
- 前項第2号に係る払戻し
- ア.発航する日の7日前までの請求に係る払戻し 200円
- イ.発航する日の前々日までの請求に係る払戻し 券面記載金額の1割に相当する額(その額が200円に満たないときは、200円)
- ウ.発航時刻までの請求に係る払戻し 券面記載金額の3割に相当する額(その額が200円に満たないときは、200円)
第4章 運送申込人の義務
(積込み及び陸揚げ)
第17条
- 特殊手荷物の積込み及び陸揚げは、船長又は当社の係員の指示に従い、運送申込人が行うものとします。
- 特殊手荷物の運転者は、特殊手荷物の積込み及び陸揚げに当たっては、当該特殊手荷物のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、積卸施設及び当該特殊手荷物の状況に応じ、他に危険が及ばないような速度と方法で運転しなければなりません。
(点検の義務)
第18条
- 運送申込人は、下船前に特殊手荷物について点検しなければなりません。この場合において、当該特殊手荷物について異常を発見したときは、直ちに船長又は当社の係員に報告しなければなりません。
(特殊手荷物の運転者の禁止行為等)
第19条
- 特殊手荷物の運転者は、特殊手荷物を運転して乗船し、又は下船する際に船舶内又は乗降施設若しくは誘導路において徐行をせず、又は乗降中の自動車若しくは他の特殊手荷物の前方に割り込んではいけません。
- 特殊手荷物の運転者は、特殊手荷物の積込み及び陸揚げに関し、舶長又は当社の係員が輸送の安全確保のために行う職務上の指示に従わなければなりません。
- 船長は、前項の指示に従わない特殊手荷物の運転者に対し、下船を命じることがあります。
第5章 賠償責任
(当社の賠償責任)
第20条
- 当社は、特殊手荷物の滅失、損傷又は延着による損害については、第4条第4項において当社が免責される場合を除き、その損害の原因となった事故が、当該特殊手荷物が当社の管理下にある間に生じたものである場合に限り、これを賠償する責任を負います。
- 前項の規定は、次の各号のいずれかに該当する場合は、適用しません。
- 当社が、使用船舶に構造上の欠陥及び機能の障害がなかったこと並びに当社及びその使用人が当該損害を防止するために必要な措置をとったこと又は不可抗力などの理由によりその措置をとることができなかったことを証明した場合
- 当社が、運送申込人若しくは第三者の故意又は過失により、又は運送申込人が法令若しくはこの運送約款を守らなかったことにより当該損害が生じたことを証明した場合
- 当社が第6条の規定による措置をとったことにより生じた損害については、第1項の規定により当社が責任を負う場合を除き、当社は、これを賠償する責任を負いません。
(運送申込人の損害賠償請求権)
第21条
- 運送申込人が異議をとどめないで引渡しを受けた特殊手荷物については、当該特殊手荷物に関して生じた損害についての当社に対する賠償請求権を放棄したものとみなします。ただし、直ちに発見することができない損傷又は一部滅失がある場合であって、その引渡しの日より14日以内に当社に対しその事実を文書により通知したときは、この限りではありません。
(運送申込人に対する賠償請求)
第22条
- 運送申込人が、その故意若しくは過失により、又は法令若しくはこの運送約款を守らなかったことにより当社に損害を与えた場合は、当社は、当該運送申込人に対し、その損害の賠償を求めることがあります。
第6章 共通特殊手荷物券
(共通特殊手荷物券)
第23条
- 当社と共通特殊手荷物券による特殊手荷物の運送の取扱いに関する取決めのある船舶運航事業者が発行する共通特殊手荷物券は、当社の特殊手荷物券とみなします。
- 前項の共通特殊手荷物券により行われる特殊手荷物の運送については、当社の運送区間に関しては、この運送約款が適用されます。